金の光の帯がクマザサの上に広がりゆれていました

金光学園の恩師花房泰志先生から「金ボタルはバチバチバチッと広がってそれはきれいだよ」という話を聞きました。それがとても気になって、友人とその蛍の里を訪ねました。哲多町の山奥にある天王八幡神社へは新見市から知人に車で案内していただきました。ふもとに駐車し山頂に登りますが、足元には置き提灯があり、風情を感じます。保存会への経費募金箱が入場料とも思えます。携帯、カメラ、どんな光も禁止され、タバコ、線香なども登る前にと注意されました。神社に近づくと、カメラを据え付けた人たちが群がっていました。フラッシュをたかなくてもきれいに撮れる術を持った人たちです。埼玉、東京からも来ていて驚きでした。案外県内や地元の人達は知らないのかも知れません。

境内に100人ぐらいの人がいたでしょうか、暗くなると木立の間にびっしりと敷き詰められたクマザサの下から一つ、二つ金色の点滅が浮き上がってきました。そのうちあちらからもこちらからも無数の光が浮き上がり揺れ始めます。体長2-7ミリですからとても小さく目立ちませんが、その光様と数に圧倒されます。一秒間に数回は点滅するように思えます。それが先生の「バチバチッ」と光るさまを伝える言葉になったのだと、見て初めてわかりました。クマザサから出てきた無数の金ボタルは、飛翔範囲が狭く、地上ほんの1-2メートルの高さで揺れます。バチバチッと光りながら一定の高さで揺れていますから、まるで暗闇の中に天女の羽衣を光らせ波打たせているようでした。「昔はもっとすごかったよ」と案内の方はお孫さんを抱っこしながら当時の様子を話してくれました。日頃の緊張感や疲れを忘れ、私はしばらく根が生えたように立ちすくんでいました。

130712kinbotaru